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更新日:2006.4.01


燃料電池自動車用電力変換器のソフトスイッチング回路方式に関する研究

研究背景

 近年,地球温暖化や環境問題,石油枯渇問題は,年々深刻化し,将来,ガソリン自動車に替わるクリーン自動車(燃料電池車や電気自動車,ハイブリッド車の総称)の保有台数の増加が予想されます。但し,これを実現するためには,100[kW]程度のモータ駆動が必要であり,高性能な電力変換器による高効率高周波大電力化が重要な課題です。従来の変換器は,「大きな損失が生じない周波数での電力変換」といった簡単なものが多く,利用できる高速パワーデバイスを最適に制御しているものではありません。そのため,スイッチング損失をできるだけ低減し,高周波化して,出来るだけ小型化することが必要になります。そのような状況でも,ユーザの快適性と経済性を高めるために,ソフトスイッチングによる電力変換が必要です。

ソフトスイッチングによる効果

  • 高周波化
  • 大電力化
  • 低損失化
  • 低ノイズ化
  • 小型化
  • 軽量化

SAZZ双方向チョッパ
(SAZZ: Snubber Assisted Zero voltage and Zero current transition)

 本研究室ではHEVに搭載されている大電力双方向チョッパの小型・高効率・低ノイズ化に取り組んでいる。

 双方向チョッパは、1.充放電制御、2.PAM制御 を両立させるハイブリッドシステムには欠かせない部品である。しかし、現状のハードスイッチング回路では、1.リカバリー電流による出力ダイオードの破損 2.スイッチング損失による効率悪化 3.低周波によるLCの大型化 といった問題がある。

そこで、本研究室ではこれらの問題を解決できるSAZZ方式というソフトスイッチング回路方式の適用を行った。この回路方式は、1.リカバリー電流零による出力ダイオードの破損防止、2.ZVZCTターンオンとスナバターンオフによる効率向上および低ノイズ化、3.高周波化の実現によるLCの小型化 といった特徴を有する。現在、実験検証を行っている。


実験装置
ZVZCTターンオン

Recovery電流零


評価

1.重量および容量評価
  25kHz→100kHzにすることで、L1, L2の1/4の小型化・軽量化

2.信頼性評価
  主スイッチの電圧電流波形:ZVZCTターンオンにより低損失
  出力ダイオード電圧電流波形:リカバリー電流零により低損失
  
および高信頼性

3.効率評価
  3% up :hard回路比較, SPICE測定値
  96.04%:100kHz-8kW 順方向 ディジタル実測値
  99.00%:100kHz-500W 逆方向 アナログ実測値


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